関西トレーナー会

『World Trainer Project 〜シルク・ドゥ・ソレイユ挑戦〜』 2016.02.15

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『World Trainer Project 〜シルク・ドゥ・ソレイユ挑戦〜①』

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『World Trainer Project ~シルク・ドゥ・ソレイユ挑戦~1-2日目報告 』
アメリカ・ロサンゼルスでの研修内容の報告をさせて頂きます。
2月15日に出国しまして日本からサンフランシスまで約10時間、サンフランシスコからの乗り継ぎでラスベガスまで約2時間。
合計約12時間でラスベガスに到着しました。
現地のアテンドの案内でホテルに到着。
ホテルにはトレーニングジムが併設されており、研修生3人でそれぞれのトレーニング理論、動作分析の方法を披露しあいました。
3人とも現場で働いており、理論にそった討論を行いながらそれぞれ新たな発見もできました。
夕食後もホテルの部屋で各自が痛めているところを治療したり、現場で使用している治療器具などを実践で披露しあいました。
初日は到着時間が遅かったこともあり研修がなかったので、16日からの研修に向けた有意義な時間を過ごせました。

2日目から始まった研修はラスベガスで活躍するトレーナー、大学講師、パフォーマーの方の講義を受講しました。
まず1人目は現在、某有名舞台でパフォーマンスメディスンとして活躍するTERRILL LOBO氏です。
TERRILL氏の講義はアメリカ、カナダでのトレーナー経験を活かし、パフォーマンスフィールドでのメディカルサポーターの役割という題材で講義していただきました。
TERRRILL氏はカナダとアメリカでそれぞれCATA NATAの資格をもったアスレチックトレーナです。
カナダのCATAは、医師と一緒にコラボレートせず、傷害の診断、フィールドでの診断、治療を自分で判断ができます。
一見、とても自由にトレーナ活動ができるように感じますが、医師とコラボレートしないということは、医師が判断するために必要な知識が必須ということです。
また、医師は整形外科医だけでなく、脳外科や内科、精神科と幅広くそれらの知識も必要ということです。
世界で活躍するには、それだけの知識が有する必要があるということですね。
2人目は 現在ネバダ州・ネバダ大学ラスベガス校で運動学習学科専攻として講師をし、スポーツ心理学の世界権威である指導教官のもとで研究のサポートをする岩月猛泰(いわつき たけひろ)さんです。
岩月さんには、怪我と心理学の関係性について講義をしていただきました。
岩月さんは、マサチューセッツ州のスプリングフォード大学の心理学学部修士課程に入学、アスレッチクカウンセリング・スポーツ心理学を専攻。
メンタルトレーニングを学び、ハーバード大学などでメンタルトレーナーとしても活動され、様々な選手の運動学習指導を行っています。
3人目は、2012年ロンドンオリンピックでシンクロ競技に出場、引退後2013年に舞台パフォーマーに合格し2014年からラスベガスの舞台に立つ酒井真理子さんです。
酒井さんには、シンクロのアスリート時代と現在のシルクでのパフォーマー時代、それぞれの活動について講義をしていただきました。
競技者としての生活や目標、そして現在のパフォーマーとしての生活や、シンクロの競技からパフォーマーと環境が変化していく中での彼女自身の変化についてお話いただきました。
3人の講義では共通して「モチベーション」というワードが入っていました。
TERRRILL氏はモチベーションが異なる選手に対しての接し方、モチベーションの向上のために行っていることについて。
岩月さんはモチベーション等の心理的な要因を考慮した運動指導について。
酒井さんはパフォーマとして舞台に立つにあたって、モチベーションの保ち方、パフォーマとしてのあり方について。
これらについて各分野の方々が共通したワードを話していたということがとても重要であると感じます。
午後はネバダ大学のキャンパスを見学しました。
スポーツに力を入れている州のため、トレーナーなどの医療分野の方々のための教育環境はもちろん、今後世界で活躍する選手たちにとっても最高の環境でした。
初日からかなり濃いプログラムになり時差を忘れるくらい、充実した時間を過ごす事が出来ました。
また3日目以降の報告も随時させて頂きます。

『World Trainer Project 〜シルク・ドゥ・ソレイユ挑戦〜②』

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『World Trainer Project ~シルク・ドゥ・ソレイユ挑戦~3日目報告 』
研修3日目はLas VegasにあるS.P.O.R.T PHYSICAL THERAPYでの研修でした。
そこで迎えて下さったのがクリニックのGeneral ManagerであるDr.Jimmy氏(Doctor of Physical Therapy)でした。
クリニックの施設は、セラピールーム、TRルーム、リハビリフロア、ピラティスフロアがあり全てのフロアがとても整った環境でありました。
TRルームでは、患者様やアスリート自身でTRをおこない、TRXもありさまざまなトレーニング器具がありました。
セラピールームは、個室が7部屋、プラットフォームが5台とあり一つ一つの個室はとても広い印象でした。
この施設の中で一番驚いたのは、ピラティスフロアも充実しておりリハビリの一環として取り入れられているとのことでした。
Las Vegasでは、ピラティスも保険会社によっては保険適応なユニットもあるとのことでした。
また1回の施術で患者様から頂く金額が、日本の整骨院の約20倍にも達します。
そして1日に来院する人数が70人を越えるとのことでした。
この施設付近には、歩行練習を専門的におこなう施設やMRIやX線などといった画像診断ができる施設もありました。
そのため、初期評価はクリニックでおこないますが、もし症状が強く神経症状や痛みの訴えが酷い場合や手術が必要な可能性がある場合、画像所見から考える場合などは、施設を移動するよう促すこともあるそうです。
クリニックでのリハビリの状況は、患者様にもよりますが、TRを中心的におこなう時はトレーナーが帯同しエクササイズ(運動療法など)をおこなう時は、理学療法助手(アシスタント)がつき、マニュアルセラピー(徒手療法)は、Jimmy氏のような理学療法士が施術します。
一人の患者様に対して、数人のスタッフが連携をとりサポートをされていました。
そのため、スタッフ間での情報共有を大切にし、アセスメントシートとして具体的にペーパーへの記載とPCでのデーター保存をしておりました。
午前中は、Jimmy氏の治療見学をさせて頂き、さまざまな症例を診ることができました。
Jimmy氏は患者様からもとても信頼されており、彼の生徒ならということで実際に私たち研修生も徒手療法をさせてもらい、ご教授も頂きさまざまな体験をすることができました。
また、私たちが日本の現場で使用している治療道具(ガビランなど)も患者様へ使うことができ、Jimmy氏や患者様も喜んで下さる様子がありました。
Jimmy氏も治療でガビランと似た器具を使うこともありお互いに共感できる場面もありました。
午後からは、Jimmy氏が講演する警察学校にも見学に行きました。
ここでの施設では、警察になるための訓練やテストなどをおこなう場所であります。
Jimmy氏は警察を目指す生徒へ脊柱の仕組みや腰痛予防のためのエクササイズなどを指導していました。
Jimmy氏は、本当に丁寧に教えて下さる方で生徒達は30人くらい居たのですが、みんなが楽しそうに講義を聞き実技をおこなっていました。
こういう場面でもフィジオセラピストが講演する場があり、本当に仕事の幅が広いと感じさせられました。
様々な価値観に触れれて本当に学びの多い一日となりました。
また4日目以降の活動も報告させて頂きます。

『World Trainer Project 〜シルク・ドゥ・ソレイユ挑戦〜③』

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『World Trainer Project~シルク・ドゥ・ソレイユ挑戦~4日目報告』
研修4日目も朝からS.P.O.R.Tクリニックへ行き、昨日に引き続きJimmy氏の治療を見学し指導を受けました。
平日の朝でも患者様がとても多く、TRやピラティスだけをするために遠方から来院する方も居られました。
午後からは研修生それぞれに症例ケースを与えられ、実践テストをおこないました。
私たちが普段、スポーツ現場や病院でしている事を出しきりました。
流れとしては、日常生活とスポーツ動作時に痛みを訴える患者をそれぞれの研修生にケースを与えられ、問題点を考え、リハビリの流れを説明しながら評価と徒手療法を実施し運動療法をおこないました。
そして最後にエクササイズを指導するという流れでした。
一人約40分~50分程度行いましたが、私たちが実施したアプローチやエクササイズの中にJimmy氏も新しいエクササイズが見つかったそうで喜んで下さり、携帯で写真までも撮って下さることもありました。
一番驚かれていたのは、鍼を刺したままの運動療法や、可動域を向上するエクササイズを実施したことでした。
ここのクリニックでもそういうアプローチをされる方は居られないそうでした。
テスト後は、私たちも新しい徒手療法やエクササイズを教えて頂きお互いに知識や情報を交換しディスカッションもすることができ、より充実した一日を過ごすことができました。
このテストは、恐らく二日間Jimmy氏の見学をさせて頂いた症例と似ており、徒手療法や、検査方法など教えて頂いたので試されていたのではないかと感じました。
テスト後はJimmy氏から『昨日、私が見せたことをよく覚えていたよね』との言葉を頂きました。
研修生の見学態度や理解力、復習や予習を一晩でどれだけおこなっているのかなど、いろんなことを試されていると私は感じました。
また、研修生同士でしたので、自分が被験者になることで客観的に感じた部分、気づいた部分が多々ありました。
やはり、新しいテクニックや徒手療法があろうが基本的な解剖学的知識、筋肉の触診がどれだけ適切にできるかに限ります。
これは、日本でも変わらず普段から私たちが考えていることと同じでした。
そして、S.P.O.R.T PHYSICAL THERAPY のオーナーであるDr.Scott R Pensivyとも挨拶させて頂きました。
Scott氏は、さまざまな分野のスポーツ選手をサポートされており、世界的に活動され自身のメソッドも立案されたくさんのPTやATなどスポーツに関わる人材の育成をされています。
彼のオフィスでいきなり『私に質問があるか?』と聞かれ、沈黙が続きました…..やはりこういうところで足を踏み出せるかどうかではないかと痛感しました。
研修生の一つの質問で、明日に繋がり、またScott氏に3人が治療までして下さるというご厚意がありました。
それは言葉に表せない程の衝撃的でした。
過去のWorld Trainer Projectに参加した方達からチャンスは一瞬で過ぎるので常にアンテナ張っておく事が大事と聞いていましたが、
実際自分達がその状況になって質問が出来ないことや、質問一つで次の日に大きく繋がるなど、自分達次第で良くも悪くも変化するという事を学べたのは凄く貴重な経験だったと思います。
チャンスは自分達で生み出して掴むという意識を再確認出来たので次の日からの研修にも活かしたいと思います。

『World Trainer Project 〜シルク・ドゥ・ソレイユ挑戦〜④』

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『World Trainer Project ~シルク・ドゥ・ソレイユ挑戦~ 5日目報告』
研修5日目は朝一からTRジムGAINESへ行きScott氏の治療見学をさせて頂きました。
Scott氏は、一般の方から世界トップレベルのアスリートまでたくさんのクライアントをサポートしているため、私たちも色んな症例を見学/実践することができました。
午前中はアスリートも多く来ていて、大学卒業しNFLの入団予定のアスリートのフィジカルテストもおこなっていました。
垂直跳びを行っており、私達も前額面と矢状面の両方から分析し高く飛ぶアスリートとそうでないアスリートの飛び方はどう違うのかなど考えながら観察していました。
このあたりもしっかり理解できれば、ジュニアの育成にも生きてくるのではないかと考えられました。
他の種目では、ボクシングのヘビー級世界チャンピオンやメジャーリーグの選手、ダンサーなどさまざまなアスリートのリハビリと治療の見学をさせて頂きました。
一番感じたことは、Scott氏は知識も含めて徒手手技の選択肢が沢山あるということでした。
またその選択肢の中から、一人一人へのアプローチを優先的に考え常にクライアントにとって一番良い手技を実施するため、治療時間も比較的短い時間で改善がみられるのが印象的でした。
午後は、新しいクライアントとのセッションがありましたがその方も見学させて頂きました。
ここで驚いたのが、Scott氏のラポールの構築が早い段階でしっかりできているということでした。
初めて治療を受けに来ているのに私たち日本人5名を治療スペースに入れて下さり、研修生は身体までも触らせて頂きました。
ここまでさせて頂けるのは、信頼関係ができていないととても難しいと思います。
我々だけでなく、日本人が見習わなければならないのではないかと感じました。
この3日間は主に治療現場を見学させて頂き、お二人の技術はもちろん、コミュニケーション能力や患者様との関わり方についても学ばせて頂きました。
自分が仕事をする上で高いモチベーションで保つことによってクライアントへ一番最高のサポートができるとおっしゃていました。
これは、Jimmy氏やScott氏だけでなく今回アメリカ研修でお会いしたセラピスト全員が共通して言っていました。
お二人を見ていると、とても仕事を楽しそうにして患者様とも距離が近く親切に接してる姿が印象的でした。
共に働くスタッフもお二人のことを尊敬するのも納得がいきます。朝早くからから夕方帰るまで手が止まることは程ありませんでした。
また、組織全体のチームワークがうまく連携をとり無駄な動きは一切ないようにも感じました。

『World Trainer Project 〜シルク・ドゥ・ソレイユ挑戦〜⑤』

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『World Trainer Project~シルク・ドゥ・ソレイユ挑戦~5-6日目』
5日目の午後からはシルクドゥソレイユ舞台裏研修でした。
2/19(金)
Athletic GAINESでの研修を終え、シルクドゥソレイユの公演を見に行きました。
シルクドゥソレイユは基本週5日で1日2回、1週間で10公演行われます。
この日はシルクドゥソレイユの水を使った演目「O」の公演を鑑賞しました。
公演終了日本人パフォーマーの北尾佳奈子さんと酒井真理子さんに本番後の舞台裏を案内して頂きました。
まず案内して頂いたのがPhysicalTherapyRoomです。ここには基本的にPTの方が3人とマッサージ専門の方が1人おられて治療を受けるには事前に申請しておかなければいけないようです。
研修2日目に講義して下さったTERRILL LOBO氏にお話を伺ったところ、実際公演で使用しているテープや、治療機器の説明をして下さりました。
その後トレーニングルームを案内して頂き、コアを強化するものやウエイトもあったり、またパフォーマンスを確認出来るようにトランポリンや平行棒などが揃っていました。
そこで北尾佳奈子さんにお話を伺い日頃のケアについてやウォーミングアップ、またトレーニングのことについて伺う事ができました。
皆さんとても気さくで優しく私達が疑問に思っていることに丁寧に教えて頂けました。
2/20(土)
最終日はシルクドゥソレイユの本番前の舞台裏見学でした。この日は昨日の「O」とは変わって人間技が繰り広げられる演目「ZARKANA」をオーナーであるClaude Bourbonniere氏とその日本人の奥様ノリコさんに舞台裏を見学させて頂きました。
舞台裏には衣装部屋があり、洗濯ルームを案内して頂き、その後トレーニングルームにてアーティストのヘッドコーチであるKonstantin Besstchetnyi氏にお話を伺いました。
シルクドゥソレイユのサポートはPTとストレイングス、そしてアーティストコーチの3つの分野に分かれてそれぞれの役割を果たします。
3つの分野の連携がとても効率よくKonstantin Besstchetnyi氏がパフォーマーの身体の異常を見つけ次第PT及びストレイングスに送ることで上手く情報も共有出来ているとの事でした。
また「ZARKANA」のパフォーマーが新しい技術やおもしろい発想を持ち出し認められると実際に公演に採用されるらしく、とても驚きました。ZARKANAならではだと思います。
パフォーマーにとってモチベートされるきっかけにもなりますよね。
また定期的に身体能力テストもあり、そ合格しなければ契約は継続出来なくなるらしく厳しい世界ですので、皆さんトレーニングには積極的に励んでいるとの事でした。
その後は舞台袖やリハーサル中の選手の様子を伺えました。
最後に実際その日の公演を見ることが出来ました。
今回2公演を見させて頂いて、選手にとって毎日の公演ですが見に来るお客さんは変わっていきます。毎回の公演に新鮮な気持ちで挑みパフォーマンスを維持させることの出来る背景を伺う事が出来て私達トレーナーも同じ覚悟を持つ必要があると思いました。
素晴らしいアーティストとそれを支える方々のサポートがあって、ひとつのショーを創りあげることに感動を覚える2日間でした。
以上を持って研修の全日程を終了しました。
本来予定されていたシルク・ドゥ・ソレイユでの研修以外でも、NBA選手やメジャーリーガーにも携わる機会や、現地の方でもお会いすることが中々出来ない先生方に講師をして頂けるなど充実した日々でした。
また後日一人ずつ感想を述べさせて頂きます。

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